この記事はこんな人に向けて書いたものです。
- 新型出生前診断(NIPT)は「命の選別」でしょ?
- 新型出生前診断(NIPT)はそもそも何のためにあるの?
- 新型出生前診断(NIPT)は危険なの?
新型出生前診断(NIPT)を調べていると「命の選別」という言葉が出てきます。
新型出生前診断(NIPT)を受けることは命を選別することなのでしょうか?
新型出生前診断(NIPT)の目的は何なのでしょうか?
この記事を読んでいただければ、新型出生前診断(NIPT)の倫理的な観点や本来の目的が明確となり、疑問や不安が解消できるはずです。
ぜひ最後までご覧ください。
新型出生前診断(NIPT)の概要については、こちらを参照ください。
新型出生前診断(NIPT)と中絶

新型出生前診断(NIPT)に限らず、出生前診断の導入にあたっては昔から大きな論争が巻き起こっていました。
理由は、結果が陽性だった場合に中絶によって赤ちゃんの生きる権利が奪われる可能性があるからです。
中絶については、母体保護法に次のように書かれています。
(医師の認定による人工妊娠中絶)第14条 都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。
一 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
二 暴行若しくは脅迫によって又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの
2 前項の同意は、配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなったときには本人の同意だけで足りる。
法律的にも、赤ちゃんに疾患があるからという理由で中絶することはできないのです。
新型出生前診断(NIPT)の目的

そもそも出生前診断は何のためにあるのでしょうか?
それは、赤ちゃんを迎え入れるための準備をするためです。
生まれてきた赤ちゃんに異常が見つかった場合、現実を受け入れるまでに時間がかかるものです。
また、疾患のある赤ちゃんを育てるためには、自治体や医療施設のサポートが不可欠です。
出生前診断は赤ちゃんの異常を早い段階で知ることで心の整理をしたり、環境を整えるための時間を作るのが本来の目的です。
とはいえ、出生前診断の結果が陽性の場合、9割以上の方が中絶を選んでいるのが現実です。
新型出生前診断(NIPT)の実情

新型出生前診断(NIPT)は赤ちゃんの未来を消してしまうおそれがあります。
そのため日本産科婦人科学会では、新型出生前診断(NIPT)を妊婦さんに積極的に知らせる必要はないとしていました。
しかし今の時代、お医者さんに聞かなくても、ネットや口コミなどでいろんな情報を入手できます。
厚生労働省のNIPT等の出生前検査に関する専門委員会(第1回)によると、新型出生前診断(NIPT)を受けた妊婦さんの半数以上は無認可施設で検査を受けていました。
結果が陽性だった人の中には、事前説明が不十分で検査内容をよく知らないまま検査を受けて混乱や後悔をした方もいたそうです。
そのような十分な知識のないまま検査を受ける人を減らすために、現在では病院の受付などに出生前診断に関するリーフレットが置かれるようになっています。
積極的には知らせないという基本姿勢は変わりませんが、妊婦さんに寄り添った対応に少しずつ変化しているようです。
新型出生前診断(NIPT)のその他の問題点

新型出生前診断(NIPT)の問題点は、倫理的なものだけではありません。
検査内容について十分な知識を持たずに検査を受けると、検査結果によって妊婦さんが動揺して冷静に判断できなくなる可能性があります。
ですので、検査を検討する際は遺伝カウンセリングを受けて、正しい知識を身に着けたうえで判断することをおすすめします。
新型出生前診断(NIPT)の問題点については、こちらの記事も参照ください。
まとめ

新型出生前診断(NIPT)の目的と倫理上の問題点についてお話しましたが、いかがでしたでしょうか。
ポイントをまとめると、
- 新型出生前診断(NIPT)は「命の選別」になる可能性がある
- 本来の目的は心の整理や環境整備の時間を作ること
- 検査を受けるときはしっかりと事前説明を受けることが大切
です。
検査結果によっては妊娠継続と中絶、どちらを選ぶにしても、妊婦さんやそのご家族は大きな葛藤や不安を抱えた中で決断することになります。
新型出生前診断(NIPT)を受けるときは、遺伝カウンセリングで検査内容を十分に理解し、検査後のこともしっかり考えてから判断することをおすすめします。
この記事が、あなたの妊娠や出産に対して少しでもお役にたつことを願っています。
新型出生前診断(NIPT)を検討している方へ、まずは専門家に相談してみませんか?
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